Cleopatra's Dream

 セブ島に住む人のブログに触発されて、恥ずかしながら私もブログを始めることにした。

その人には及びもつかないが、『My Fevorite Things』を中心に書いていこうと思う。

手始めにこの1曲。

超が付くほどの有名な曲で、バド・パウエルの『クレオパトラの夢』

若い頃、吉祥寺にあるジャズ喫茶に入り浸っていた。

当時「吉祥寺はジャズの街」というキャッチフレーズを謳うほどジャズ喫茶が多かったが、私のお気に入りは「MORE」という名前の山小屋風の店だった。

一階が「コンツェルト」という名の名曲喫茶。黒づくめのロングスカートを穿いた女性が黙ってリクエスト用の小さな紙切れと3センチほどの鉛筆を渡してくれる。声を出さないのがルールの店だった。

民家のような造りで入口のドアまで庭の小径を抜けて行く、とても風情のある店だった。

よく若い女性が窓から射しこむ木洩れ日を受けながら読書をしていた。

私は場違いな居心地の悪さを感じながら本を読むのだが、時々盗み見るようにその美しい横顔を見ていた。

結局は読書に集中できず、自分のリクエストがかかる前に店を出るのが常だった。(若かったね)

庭から通りに出ると二階に通じる階段があり、二階に上がってみるとログハウスのような造りで壁一面に柱時計が掛けてある。

私はカウンターの端に座ってココア一杯でねばって本を読む。

店の娘がレッド・ガーランドの「GROOVY」というLP盤が好きでいつもかかっていたが、私が座るといつの間にか『クレオパトラの夢』をかけてくれた。

「MORE」はもうとっくの昔に無くなってしまったが、この曲を聴くと懐かしい青春の日々が蘇ってくる。

ちなみにこの店のオーナーはあの寺島靖国さん。

   

その頃私がきいた話では、天才パウエルは25歳の時に警官に頭部を酷く殴打されて終生後遺症に苦しんだという。
精神病院で電気ショックの治療をされたらしい。
この録音は精神病院を退院後に録音されたという。
まさに鬼気迫る演奏だ。
そして彼はアメリカに見切りをつけてフランスへ旅立った。
今なお残るアメリカの人種差別。
愚かな白人警官が、天才の頭部をこれでもかと殴打する姿を想像すると胸が痛む。

世の中は理不尽に満ちている。
それでも気高き人は、我が身の不運を託ったりしない。
常に為すべき事を見出し、人生を全うしようとし続ける。
セブ島のブログ主もその一人だ。
世生理路氏のブログは
是非見に行ってほしい。








 

コメント

  1. もう半世紀ほども前のことです。ジャズ好きの友人に連れられて、横浜の裏道にあった地下の薄暗いジャズ喫茶に通っていた時期がありました。
    サックス奏者のジョンコルトレーンが好きでした。また、「The In Crowd」という曲が好きでした。

    真っすぐにのびる、透きとおった一本道のはるか彼方を、もくもくと歩いて行くひとりの少年。少年のさらにはるか彼方には、うすぼんやりとした光が射している。あの輝きはなんだろう。
    そして、少年の背を必死になって追いかけていくひとりの姿がある。どちらも、まぎれもない、トッポジージョさんだ。
    そろそろ人生の黄昏を迎えようとしているトッポジージョさんの足取りは決して早くはない。だが歩み続けていきさえすれば、いつかはきっと、少年が見たいと思っていた光の源にたどり着くことができるでしょう。

    セブ島・リロアン
    世生 理路

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    1. 世生様
      コメントありがとうございます。
      とても励みになります。
      ジョンコルトレーンいいですね!(特に「My Favorite Thing」大好きです)
      ラムゼー・ルイスの「The In Crowd」も最高です。アフターファイブ、さあ街に繰り出そうといったウキウキ感が堪らないですね。

      驚きました。私の心象風景をズバリと見通されてしまいました。
      その通りなんですが、私の見ている輝きは世生様の後光かも知れません。
      ありがとうございました。

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  2. 仕事をしながら何かを続けていくことは、なかなかシンドイときもあります。時間と相談しながら、無理のないように、書き綴って行ってください。
    ブログの背景の色具合とジャズとの組み合わせは秀逸です。

    セブ島・リロアン
    世生 理路

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