The Untouchables

  前回の拙ブログに理路庵先生が『ここがアメリカのアメリカたるところ』とコメントしていただいて思い出したのは1920年代の禁酒法時代のことだ。先生の仰る深い意味には遠く及ばないのだが、『禁酒法』を大真面目に制定したのも『アメリカ』の一面を現わしているのではないだろうかと思ったからだ。

 小学生の頃に夢中になっていたテレビ番組『The Untouchables』は100回以上も続いた長い物語だった。舞台は1920年代のシカゴ、禁酒法の網の目を掻い潜り密造酒を流通させて大儲けするマフィアと後のFBIの元になった酒類取締局の捜査官エリオット・ネスとの闘いを描いていた。

 だから1987年にケビン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デニーロで映画化された時はとても懐かしかったが、子供の頃に見たエリオット・ネス役のロバート・スタックの方がクールで良かったなと思ったものだ。


 『禁酒法』についての疑問はテレビシリーズを見ている子供でさえ感じていた。酒類を禁じれば社会から悪を駆逐できると本気で考えたのだろうか。結果はギャングの台頭を許し多くの人が死んだのだ。
 隣の増村のおじさんは立川基地で働いていた。私より4歳ほど年長の双子の息子がいて小さい頃は昆虫採集などに連れて行ってもらっていた。
 私は増村のおじさんに疑問をぶつけてみた。するとおじさんはおおよそ以下のような事を教えてくれた。
『アメリカ人は真面目で『善い事』をしなくてはいけないと考えているんだよ。頭で考えるだけじゃ駄目で実行しなくてはいけないのさ。』
『でも、日本と戦争したじゃない。戦争は悪い事でしょ。』
『それはね、日本を打ち負かして良い国にしなくてはいけないと思ったからなんだよ。少しお節介かもしれないけど、見て見ぬふりをするのは良くないことだと教わっているんだ。』
 私は解ったような気がしたが、本当は何も分からなかった。増村さんの言っていることはアメリカ人は思い込んだら平気でお節介をする迷惑な人達なのかと思ったからだ。

 あれからどれだけアメリカ映画を観ただろう。世界中に影響を与え続けるアメリカのことをどれだけ知っているのだろうか。中国の脅威が現実味を増している中、頼りは日米安保条約だけなのに肝心のアメリカを理解できていない。
 それは私だけの問題ではない。菅総理はバイデンに面会するためにワクチン接種をして飛んで行ったが、アメリカの本心を知りたいというのが眼目なのは良く分かる。昔キッシンジャーに頭越しでやられた苦い記憶は、総理の脳裏にもよぎったに違いない。
 移民の国アメリカで『黄禍論』が渦巻いたのは20世紀初頭だと思うが、『黄禍論』の対象は中国人だったはずなのに、いつの間にかアメリカは中国を手助けして日系人の排斥運動が起きてしまう。それは全て日本の責任で、アメリカには何の非も無かったのだろうか。

 第二次大戦後、倫理的に日本を徹底的に断罪したアメリカはまさに『The Untouchables』だったのだと思う。
 朝鮮戦争で中共と戦ったアメリカはベトナムでも間接的に中共と戦っていた。それなのに何処かで中国寄りに振れていき、日本や台湾の頭越しに中国共産党と手を結ぶ。今、中国の覇権を許すなと言っているが、原因を作ったのはアメリカ自身だ。
 尖閣諸島も日本に施政権を返還する直前に中国共産党が領土要求をし始めたのに、アメリカは日本に沖縄を返還する時、尖閣諸島が日本領であることを曖昧にした。竹島を韓国が不法占拠したのも日本がGHQの支配下にあった時なのにアメリカは曖昧にした。北方領土も同じ構図だ。
 アメリカは何を考えているのだろう。

・・・
 今日もまた『何故だろう病』が発症していまいました。
 そんなトッポジージョは理路庵先生の深い洞察に救いを求めてブログを見に行く。
 先生のブログは
 『CEBU ものがたり』
 一読をお勧めします。

・・・
 アンタッチャブルの動画を探していたら珍しいものを見つけた。
 日本でも放送されていた『ルーシーショウ』で『The Untouchables』のパロディをやっていたのだ。日曜日の朝、『兼高薫、世界の旅』に続いて『ルーシーショウ』をTBSで放送していた。ルーシーはマフィアのフランク・ニティの愛人役でFBIに協力している設定らしい。エリオット・ネスにティーバッグに仕込まれた盗聴器を渡されたところへフランク・ニティが帰って来てドタバタが始まる。
 英語が分からなくても昔さんざん見ていたTV番組なのでおよそ見当がついてしまう。それほどアメリカのTV番組を見ていた。


コメント

  1. 「アメリカは何を考えているのだろう」
    トッポジージョさんは、どのように思われますか?

    私の答えは単純明快です。アメリカは自国の権益を守ること以外は頭にありません。当然ですよね。
    アメリカだけでなく、ほとんどどの国についても同じことが言えるのではないでしょうか。日本くらいのもんです、必要以上に他国の目を気にするのは。

    「黄禍論」。故・宮澤総理も、記憶ではこの言葉を、なにかの折に使っていたと思います。アジア人などの有色人種に対する、一種の蔑称です。
    日本が特に標的にされるのにはいくつかの理由があります。かつて、有色人種のアジアのちっぽけな国、日本がロシア、アメリカなどの白人の国に敢然と戦いを挑んだこと、日本人の優秀さゆえの日本製品の海外流入による貿易不均衡問題などなど。白人、特にアングロサクソン系の国々にとって、有色人種の日本を何事につけて野放図に放置しておくことは、白人なるがゆえの優越感が許さないのでしょう。

    中国は今、世界からつまはじきされているようですが、と言って、例えば、アメリカは中国を見放すことがあるのか。ありません、何があっても。中国という国は、アメリカにとって、大きな権益を意味するからです。

    「日米安保条約」は日本を守ってくれるか。尖閣が中国に強奪されそうになったら、アメリカはどうするのか。中国に正面切って戦いを挑むようなことは、アメリカはしません。自国の権益に傷がつかないかぎり、アメリカは日本のために命を懸けることはしません。

    以上、大ざっぱですが、この辺で。


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  2. 理路庵先生コメントありがとうございます。
    私はしみじみ日本人なんだなと思いました。情緒的で現実世界を直視していないというか、理解していない。
    大多数の日本人が私と同じように現実世界を理解していない事を改めて感じます。
    少しショックですが貴重なコメントありがとうございました。

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